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PROJECT STORY
プロジェクトストーリー
06
こだわりと遊び心を大切に
ファンに喜ばれる商品を
プロモーション事業部 販売企画室
開発・管理課
INTRODUCTION

全国の競馬場、ウインズのターフィーショップ等で販売されている商品は、その多くをPRCが制作しています。定番は競走馬の名前や写真入りのキーホルダーやぬいぐるみ、Tシャツといった商品で、その他、GIではそのレースにあわせたマフラータオルや出走馬ボールペン、さらには“福島競馬場100周年”や“武豊騎手4000勝”のような節目の記念グッズも制作。最近ではカプセルコレクション(ガシャポン)なども好評を博しています。

ここでは売れ筋商品のひとつである競走馬のぬいぐるみ「アイドルホース」を例に、その制作過程と、そこに込めた商品開発への思いをご紹介します。

アイドルホースの陳列
アイドルホース
制作過程
PROCESS
ぬいぐるみの制作決定

どの馬のぬいぐるみを制作するのかについて明確なルールは設けていませんが、日本ダービー、オークス、有馬記念の勝ち馬、もしくはGIを2勝以上した馬というのが一応の目安となっています。

アーモンドアイを例に取ると、同馬は2018年の桜花賞でGI初制覇、続くオークスを勝ったところで、ぬいぐるみの制作が決定しました。

ぬいぐるみは、対象のGI優勝時点でのゼッケンや姿かたちに基づいて制作します。既に制作している馬でも、後に別のGI勝ちがあれば、そのレースにあわせた新たなバージョンで制作することもあります。

2018年オークス優勝のアーモンドアイ
制作風景
デザイン指示書を作成

ぬいぐるみ制作で、まず最初に行うのはデザインにおける「指示書」の作成です。ぬいぐるみの生産をする工場に送る指示書には、毛やたてがみなど各部の色、顔や脚の白い部分の形や大きさなどが記されます。

デザイン指示書を作成

覆面(メンコ)やシャドーロール、鼻革、バンテージなどの装着品も、その色や素材を含めて指示。シャドーロールひとつとっても、素材や毛足の長さなど細部には可能な限りこだわります。ちなみにチークピーシーズは、障害GI馬として初めてのぬいぐるみであるオジュウチョウサンの際に初めて制作しました。

2018年中山グランドジャンプ優勝のオジュウチョウサン

またアーモンドアイは、オークス勝利後のぬいぐるみでは脚に何も着けていませんが、秋華賞の勝利時には後脚にバンテージを巻いていたので、ぬいぐるみでも再現しています。

オークス優勝と秋華賞優勝との比較
Point!
「遊び心」から生まれた障害やティアラ

オジュウチョウサンのぬいぐるみでは「装着品」として初めて障害(大いけ垣)そのものを付けました。障害GI馬のぬいぐるみ制作は初めてで、いかに違いをわかりやすくするかを考え、採算や手間よりも「遊び心」を重視して採用したアイデアです。

同じようにアーモンドアイの秋華賞優勝後のぬいぐるみでは、頭に「TRIPLE TIARA」の文字が入ったティアラを付けました。キラキラ輝く素材選びなど苦労はありましたが、これもまた遊び心と、お客様に喜んでいただこうという気持ちの現れです。

装飾品その1
装飾品その2
サンプルのチェック(校正)

指示書に基づいて制作されたサンプルが出来上がってくると、そのチェック(校正)を行います。ゼッケンの文字はもちろん、顔の白斑(白い部分)の大きさや形、装着品の色やバランスなども細かくチェックします。過去には、覆面(メンコ)の耳覆いの中に耳が入っていなかったということもあり、気が抜けない作業です。

サンプルのチェック

毛色は最も厳しくチェックし、何度も修正が生じることも珍しくありません。1頭1頭、異なる毛色をできるだけ再現するため、既成の生地見本に合うものがない場合は、色見本帳で探した色の生地を特別に作ります。

アーモンドアイの秋華賞優勝時のぬいぐるみではオークス優勝時の生地をそのまま使用できましたが、例えばゴールドシップなどは、最初に制作した有馬記念と最後の天皇賞(春)とは芦毛の白さがかなり変わっていたため、毛色を変えて制作しています。

こうした修正を繰り返し、通常は制作を開始してから約1か月で校了となり、工場での生産に入ります。

制作過程
生産・輸送

生産は中国や東南アジアの工場で行います。工場とはいっても、ぬいぐるみは基本的に手作業での生産となります。通常、校了から約2か月ほどで最初のロットが上がってきます。

完成したぬいぐるみは通常は船便で、急ぎの場合は航空便で日本へ運びます。アーモンドアイの秋華賞優勝時のぬいぐるみは、他と同じように箱に詰めると頭のティアラがつぶれてしまうため、段ボールのパーツでティアラを保護し、箱も特別サイズのものを用意しました。

店頭で販売

オークス優勝後に制作を開始したアーモンドアイのぬいぐるみは、2018年の秋競馬が開始してまもなく店頭で販売し、秋華賞前に在庫がなくなってしまうのではというほどの売れ行きを見せました。

その後もアーモンドアイは秋華賞、ドバイターフを優勝したぬいぐるみを制作し、新たに天皇賞(秋)優勝の販売を開始しました。なお、いまだに秋華賞優勝後のティアラ付きのものは根強い人気があり、増産して他のレースのものと並行して販売しています。

店頭での販売
Point!
GIレースにあわせたグッズ

アイドルホースぬいぐるみのような競走馬グッズと並んで人気が高いのが、GIレースにあわせて制作される出走馬のボールペンや勝負服ストラップ、出馬表をデザインした馬券ホルダーなどの商品です。

これらの制作は、レース2週間前の登録馬発表時点から準備が始まり、レース2日前、または3日前の枠順決定から一気に急ピッチで進みます。

競馬の運営スケジュールに沿ったこうした制作作業は、GIシーズンには毎週、ルーティンとして行います。商品開発という仕事ではありますが、その意味ではレーシングプログラム制作や場内映像制作と同じで、PRCならではの競馬ファンのための仕事も担っていると言えます。

GIレースにあわせたグッズ
Interview
「お客様に喜んでいただけるように、こだわりある商品の開発にチャレンジしています」
by 販売企画室 開発・管理課 商品開発担当

私たちが作っているのは雑誌や広告ではなくグッズですが、特に責任を感じるのは、じつは文字校正です。ぬいぐるみのゼッケンや、Tシャツなどに入っている馬名やレース名、数字ですね。商品の納期は大事ですが、そこは輸送のトラブルなど不可抗力でどうにもならないこともあります。でも校正ミスは言い訳ができません。間違った表記のまま商品になることを避けるため、細心の注意を払います。

文字校正は部署の全員で行いますが、一人一人がしっかりと確認しないと間違いはすり抜けてしまいます。文字が多いトレーディングカードや、ガチャガチャのように種類が多いものなどは本当に神経を使います。

インタビュー風景その1

でも、それをきちんとやって納期を守れば、あとは作りたいものを作れるのはいいところですね。上長も、内心はそんなもの売れないだろうと思いながらも(笑)、やってみないとわからない部分はあるんだからと、1ロットだけチャレンジさせてくれたりします。そのあたりは社風というか、部署の気風だと思います。

商品は原則的に馬やレースありきですが、一般的な小物商品や音楽業界のコンサートグッズなどと同じものを作っても、競馬ファンには受け入れられません。あくまでも競馬場にいらっしゃるお客様に喜んでいただけるものを企画する必要があり、それをできるのがPRCという会社の強みだと思います。

インタビュー風景その2

アイドルホースぬいぐるみの制作過程を見ていただければわかりますが、商品については、こだわりすぎるくらいにこだわっています。そんなこだわりに気づいてメールやSNSなどで評価していただいたり、その馬に携わっている関係者の方に喜んでいただけたりしたときには、こちらも素直にうれしくなります。

アイドルホースぬいぐるみのオジュウチョウサンの障害やアーモンドアイのティアラなどは、こだわりというよりは遊び心に近いものです。これからもそうしたものを大切に、競馬ファンに喜んでいただける商品を生み出していければいいなと思います。

インタビュー風景その3