01
「優駿」ができるまで
編集部・優駿制作課
Day 1
2018/07/17
「優駿」9月号 企画会議
雑誌作りは、まず企画会議からスタートします。優駿制作課の企画会議は、月に1回行われます。日本ダービーのような大レース直前の時期であれば、どの有力馬を取りあげるか、どんな関係者に取材をするべきかなど、あらゆる角度から意見やアイデアを出し合います。ベテランのみならず若手からも積極的に意見が出され、良い案であれば採用されます。
ここで行われているのは、2018年9月号(8月25日発売)の企画会議。メインの特集は、秋競馬で注目されるGIホースたちを、その素顔を中心に紹介する記事で、具体的な内容や作り方などを熱く議論しています。
ここで行われているのは、2018年9月号(8月25日発売)の企画会議。メインの特集は、秋競馬で注目されるGIホースたちを、その素顔を中心に紹介する記事で、具体的な内容や作り方などを熱く議論しています。
Point!
企画会議は2号分まとめて行われる
企画会議は、じつは直近の号だけでなく、翌月の号も含めた2号分を行います。この9月号も約1か月前、6月18日の企画会議で、大まかな方向性や内容はすでに議論されていました。
Day 3
2018/07/19
JRA「優駿」編集委員会
「優駿」はJRA発行の機関誌で、その制作・販売を中央競馬ピーアール・センターが実施しています。月に1回行われるこの会議には、JRAの各部署の担当者が集まり、そこで優駿制作課からJRAに企画説明を行います。ちなみに、この会議も、直近とその次の2号分(今回は9月号と10月号)について行われます。
また「UMAJO」や馬券発売に関する案件など、JRAが行うプロモーションの「優駿」上での告知や展開も、ここで要望が出されます。
この会議が終わると、掲載内容が確定し、いよいよ本格的に9月号の編集作業にゴーサインが出ます。9月号では、すでに決まっていたGIホースたちの素顔を紹介する記事のほか、夏にフランス、イギリスで騎乗した武豊騎手の活躍も大きくリポートすることとなりました。このように、日々のニュースとともに編集内容にも常に修正・変更が加えられていきます。
また「UMAJO」や馬券発売に関する案件など、JRAが行うプロモーションの「優駿」上での告知や展開も、ここで要望が出されます。
この会議が終わると、掲載内容が確定し、いよいよ本格的に9月号の編集作業にゴーサインが出ます。9月号では、すでに決まっていたGIホースたちの素顔を紹介する記事のほか、夏にフランス、イギリスで騎乗した武豊騎手の活躍も大きくリポートすることとなりました。このように、日々のニュースとともに編集内容にも常に修正・変更が加えられていきます。
Interview
JRA「機関誌」としての性格と、読者の存在
by 優駿制作課長
JRAのオフィシャルな機関誌として特に気をつけなければいけないのは、馬名や成績、配当金などを絶対に間違えないということです。編集内容については、もちろんJRAの機関誌としての側面もありますが、お金を出して買っていただく雑誌ですので、読者に向けて作っているということを忘れないように心がけています。
機関誌としての性格上、誌面での予想行為はできないので、記事は写真と文章で、競馬の魅力やレースへの期待感を伝えるものが中心になります。ちなみに9月号の特集「GIホースたちの素顔」は、あえて文章量を抑えて、写真をメインに使った「軽め」の構成にしてみました。これに対する読者の反応を見て、また次の号にフィードバックしていくわけです。読者からどのような反応があるかは、いつも楽しみにしています。
機関誌としての性格上、誌面での予想行為はできないので、記事は写真と文章で、競馬の魅力やレースへの期待感を伝えるものが中心になります。ちなみに9月号の特集「GIホースたちの素顔」は、あえて文章量を抑えて、写真をメインに使った「軽め」の構成にしてみました。これに対する読者の反応を見て、また次の号にフィードバックしていくわけです。読者からどのような反応があるかは、いつも楽しみにしています。
Day 4
2018/07/20
編集作業開始
ゴーサインが出ると、企画立案の経緯や適性、取材スケジュールなどを考慮して、優駿制作課長が「誰がどの記事を担当するのか」を割り振ります。凱旋門賞のような海外のビッグレースが近い場合は、現地への取材に行く者も決めます。
各編集者が個別に、自分の担当記事をどう作るのか具体的に考えて動き始めます。記事の方向性、原稿を依頼するライター、使用する写真。決めるべきことはたくさんあります。
また競馬の記事と一口に言っても、過去の名馬の記事、レースのリポート、発売後に行われるレースの展望など、さまざまなタイプのものがあります。記事によっては大量の調べ物が必要なこともあるので、のんびりとはしていられません。
方針が固まったら、ライターやカメラマンなど関係各所に連絡。取材が必要であれば、アポイントメントなどの段取りを始めます。例えば9月号では、「UMAJO TALK」と題した細江純子さんと柴田阿弥さんのスペシャル対談が行われましたが、ご本人たちやカメラマン、ライターのスケジュールのほか、収録場所の決定や手配も必要となってきます。
各編集者が個別に、自分の担当記事をどう作るのか具体的に考えて動き始めます。記事の方向性、原稿を依頼するライター、使用する写真。決めるべきことはたくさんあります。
また競馬の記事と一口に言っても、過去の名馬の記事、レースのリポート、発売後に行われるレースの展望など、さまざまなタイプのものがあります。記事によっては大量の調べ物が必要なこともあるので、のんびりとはしていられません。
方針が固まったら、ライターやカメラマンなど関係各所に連絡。取材が必要であれば、アポイントメントなどの段取りを始めます。例えば9月号では、「UMAJO TALK」と題した細江純子さんと柴田阿弥さんのスペシャル対談が行われましたが、ご本人たちやカメラマン、ライターのスケジュールのほか、収録場所の決定や手配も必要となってきます。
Point!
過去の写真は編集部にストック
9月号の特集「GIホースたちの素顔」では、これまでフリーのカメラマンが撮影してきたG1ホースの素顔の写真を中心に使いました。こうした過去の写真データは、カメラマンの了承を得たうえで編集部にストックしており、すぐに選んで使える状態になっています。忙しい時期には、写真データが入ったパソコンの席には常に、誰かが座っている状態が続くことになります。
Day 11
2018/07/27
取材
−林騎手の人柄に触れる
この日は、前人未到の障害通算2000回騎乗を達成した林満明騎手へのロングインタビューで、編集者はフリーのライター、カメラマンとともに、栗東トレーニング・センターを訪れました。
林騎手は、編集者、ライターのどのような質問にも気さくに答えてくれました。林騎手の誠実な人柄に触れた編集者は、インタビュー記事を通じて、読者にもその人となりが伝わるようにしたいと思いました。
取材で撮影した写真は、後日カメラマンから編集部へ納品されます。通常は数日後、急ぎの際は翌日に送ってもらうこともあります。
ライターも、すぐに取材内容を文章としてまとめ始めます。この時点ではまだ使用する写真が決まっておらず、レイアウトが未確定なことも多く、その場合は概算の文字量に従って書き始めます。
林騎手は、編集者、ライターのどのような質問にも気さくに答えてくれました。林騎手の誠実な人柄に触れた編集者は、インタビュー記事を通じて、読者にもその人となりが伝わるようにしたいと思いました。
取材で撮影した写真は、後日カメラマンから編集部へ納品されます。通常は数日後、急ぎの際は翌日に送ってもらうこともあります。
ライターも、すぐに取材内容を文章としてまとめ始めます。この時点ではまだ使用する写真が決まっておらず、レイアウトが未確定なことも多く、その場合は概算の文字量に従って書き始めます。
Day 15
2018/07/31
レイアウト
− イメージを合わせる
カメラマンから納品された写真を使い、実際の誌面作りに入ります。写真の使い方、文章の量、ページタイトルの見せ方などのイメージを、紙と鉛筆、時にはパソコンのデザインソフトを使って簡易的に表現した“ラフレイアウト”を作成し、これを誌面デザイナーに渡します。「優駿」では、誌面デザインはすべて外部に依頼しています。
デザイナーからあがってきたレイアウトが、イメージ通りにできているかをチェックします。細かい部分まで何度か修正のやり取りを行い、ようやくレイアウトが完成します。必要な原稿の文字量が確定したら、印刷から逆算した締め切り日とともに、ライターに伝えます。
デザイナーからあがってきたレイアウトが、イメージ通りにできているかをチェックします。細かい部分まで何度か修正のやり取りを行い、ようやくレイアウトが完成します。必要な原稿の文字量が確定したら、印刷から逆算した締め切り日とともに、ライターに伝えます。
Day 23
2018/08/08
入稿
- 印刷・製本への第一歩
伝えてあった締め切り日をなんとか守って、ようやくライターの書きあげた原稿がメールで送られてきました。
送られてきた原稿をチェックして、疑問点や間違いなどがあれば連絡し、修正してもらいます。それが済むと、ようやく印刷所にレイアウトのデータ、写真、原稿を渡すことができます。これが“入稿”です。
送られてきた原稿をチェックして、疑問点や間違いなどがあれば連絡し、修正してもらいます。それが済むと、ようやく印刷所にレイアウトのデータ、写真、原稿を渡すことができます。これが“入稿”です。
Interview
表紙は、一冊の中でも
遅いタイミングで制作される
遅いタイミングで制作される
by 優駿制作課 表紙担当
表紙はほとんどの場合、各記事の編集作業が進み、具体的なタイトルや内容が固まってから作ります。また大レースの結果や有力馬の動向など、競馬の動きにも影響されるので、一冊の中でも遅いタイミングでの制作になります。ちなみにこの9月号では、特集で使うGIホースの素顔の写真にするか、それとも武豊騎手の海外での写真を使うか、ギリギリまで悩みました。最終的に武豊騎手の写真で行こうと決めたのは、8月8日です。
「優駿」には多くのカメラマンがたくさんの写真を預けてくれているので、そこから表紙に使うものを選ぶ仕事は、非常にやりがいがあります。表紙は雑誌の「顔」ですし、見た人に「あっ」と思って目を留めてもらえるような、そんな印象的なものを作っていきたいと思っています。
「優駿」には多くのカメラマンがたくさんの写真を預けてくれているので、そこから表紙に使うものを選ぶ仕事は、非常にやりがいがあります。表紙は雑誌の「顔」ですし、見た人に「あっ」と思って目を留めてもらえるような、そんな印象的なものを作っていきたいと思っています。
Day 25
2018/08/10
校正
- "ゲラ"は真っ赤に
入稿したページは、中1日ほどで印刷所から、通称“ゲラ”とも呼ばれる試し刷りが送られてきます。これで記事の内容や文字の間違い、写真の印刷の具合などをチェックし、修正の指示を書き込んでいきます。この作業を“校正”と呼びます。
校正は、調教師や騎手などの取材相手や、書き手のライター、さらにはJRAの担当者によるチェックも含めて行われます。それらをすべて反映させた修正の指示を書き込み、校正紙を印刷所に戻すことを“校了”と呼びます。
校正は、調教師や騎手などの取材相手や、書き手のライター、さらにはJRAの担当者によるチェックも含めて行われます。それらをすべて反映させた修正の指示を書き込み、校正紙を印刷所に戻すことを“校了”と呼びます。
Point!
“進行管理”という仕事
各ページの入稿、校正、その戻しは個別に行われるため、印刷所と編集部のやり取りは煩雑なものとなります。一冊の中でどこが入稿済みなのか、どのページの校正がまだ済んでいないのかなどを把握する仕事を“進行管理”と呼びます。週刊誌などでは、編集部とは別に進行管理の部署があるほどですが、「優駿」では編集者が担当し、印刷所とのやり取りの窓口となります。
Day 31
2018/08/16
校了
- 最後の3日間
校正が済んだ校正紙を印刷所に戻す“校了”作業は、すべてのページについて行うこともあり、通常3日ほどかけます。責任者は当然、全ページに目を通しますが、そのほかの編集者も原則、自分の担当ページ以外も校正し、間違いなどを防止しています。
この9月号では、8月13日から校了がスタート。すべてのページが校了し、印刷所に最後の校正紙を戻す便が出たのは、8月16日の朝6時でした。企画会議から、ほぼ1か月後ということになります。そしてその1~2日後には、もう次の号の企画会議が行われるというわけです。
この9月号では、8月13日から校了がスタート。すべてのページが校了し、印刷所に最後の校正紙を戻す便が出たのは、8月16日の朝6時でした。企画会議から、ほぼ1か月後ということになります。そしてその1~2日後には、もう次の号の企画会議が行われるというわけです。
Day 40
2018/08/25
「優駿」9月号 発売
印刷、製本が終わり、流通に乗った「優駿」9月号が、ついに全国の書店やターフィーショップに並びます。校了から発売までのタイムラグに、誌面で有力馬として取り上げた馬が怪我をしたりしないよう、優駿制作課一同は祈るような思いで発売日を待っています。ですので、無事発売を迎えたときの喜びはひとしおです。